ナレーター・ITエンジニア 渡部龍朗のウェブサイトです

Welcome
はじめまして。ナレーターの渡部龍朗(わたなべ たつお)です。
ITエンジニアとしての経験を活かし、オーディオブック関連のアプリ開発や、技術書・IT分野のナレーションなど、テクノロジーと声の表現を融合させた活動に取り組んでいきたいと考えています。
「聴く体験」をより豊かに、そしてより身近に届けることを目指して、挑戦を続けていきます。
Podcast – 宮沢賢治朗読集

Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。
▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼
【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721
【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu
幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。
物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。
📖『なめとこ山の熊』朗読 – 雪と月光の峯々で交わる、命と命🐻❄️
静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』。
なめとこ山は霧と雲を吸ったり吐いたりする大きな山。熊の胆で名高いこの山で、熊撃りの名人・淵沢小十郎は、犬を連れて谷を渉り、峯を越えて歩きます。実は、なめとこ山の熊どもは小十郎のことが好きでした。木の上から、崖の上から、おもしろそうに小十郎を見送っています。けれども、小十郎が鉄砲を構えるときは別でした。小十郎は熊を撃つたび、こう語りかけます。「おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ」「てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ」と。
ある春の夕暮れ、小十郎は月光の中で母熊と子熊に出会います。二疋は向うの谷の白いものを見つめて語り合っています。「雪だよ」「雪でないよ」「霜だねえ」——やがて母熊が気づきます。「あれねえ、ひきざくらの花」。小十郎は音を立てないようにこっそりと戻っていきます。またある夏、樹の上の熊は小十郎に向かって叫びます。「もう二年ばかり待ってくれ」と。そして約束の二年目、その熊は小十郎の家の垣根の下で倒れていました。
山では名人と呼ばれる小十郎も、町では荒物屋の主人の前で叮寧に頭を下げ、安い値で毛皮を買い叩かれます。豪気な山の主と、みじめな町での姿。殺す者と殺される者、それでもどこか通い合っている小十郎と熊たち。月光、雪、ひきざくらの花——自然の中で繰り広げられる命のやりとり。
淵沢川の水音と、白い雪の峯々。なめとこ山を舞台に紡がれる、小十郎と熊たちの物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。
#怒り #人と動物 #月
